国指定史跡『大町釈迦堂口遺跡』の改修工事

令和3年(2021)6月20日

私の子どもの頃は、車で通過ができた『釈迦堂』の隧道です。地元では「しゃかどう」とよんできました。正式には、『国指定史跡大町釈迦堂口遺跡』というのが文化財としての名称です。

昭和52年、1977年に落石してから通行禁止となり、40年以上にわたり通行ができなくなっていました。そして法面の崩落は度々起こり、今では完全に遺跡の状態を見ることもできません。地域の方達からは、早く通れるようにして欲しいという声を沢山頂いていますが、現在はしっかり危険なためしっかりフェンスでバリケードがされています。

鎌倉市は、平成28年、2016年から地質等の調査を始めており、平成30年、2018年から文化庁との協議を行い、令和元年、2019年に詳細設計を行い、令和2年、2020年はコロナ禍の影響で見送りましたが、今年、令和3年、2020年から来年、令和4年、2021年までの2年をかけて改修工事を行う予定です。今年度は、1億1700万円程の予算を史跡環境整備事業として計上致しましたが、今年度の事業費は5千万円となります。全体で2億円かかる予定です。

工事は、やぐらを挟むように垂直に穴を空けて、そこから水平に直径数センチの杭を15本打ち込むことで崩落を防ぎます。法面は、表面をコンクリートの吹き付けを行い、落石をネットをかけることで防ぐことになります。大変な工事だと予測されます。工事中の崩落も考えられ慎重な作業が求められ、一方で景観を損ないようにすることも重要なので、鎌倉市は何度も国とその工法を確認して進めてきたのを私も見てきました。砂岩のような鎌倉石でできた遺跡ですので、工事中の再度の崩落も心配されることなのでしょう。

お散歩や親せきやお友達との行き来等、浄明寺から大町へ、またその逆方向の場合もいずれもこの隧道を通ることを日常にしていた皆様に長いことご不便をおかけしてきましたが、ここから順調に計画が進むように進捗を見守ってまいります。

釈迦堂口の地名は、北条泰時が、義時の菩提を弔うために建立した『釈迦堂』からつけられたものです。

多数のやぐら群があり、平場と構成された大町と浄明寺を結ぶ丘陵部の頂上にあります。この場所はマイナスイオンに包まれている等といわれ、観光の名所ともなっていました。こうしたやぐら群の保護が大変重要とされている遺跡です。

改修工事が無事行われ、安全確保が確認された先に通行可能になる日を楽しみに待つことになります。