鎌倉市議会教育福祉常任委員会熊本視察報告書
令和7年(2025)10月22日~23日 鎌倉市議会教育福祉常任委員会熊本視察報告書
| 1 教員の働き方改革について(熊本県)
今回の視察は、『教員の働き方改革について』をテーマとし、熊本県教育委員会、熊本県議会棟内の委員会室で説明を受けた。 まずは、学校安全・安心推進課の職員(教員)により、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの採用状況についての説明を受けた。 いずれも、県の会計年度任用職員として任用し、会計年度末日までの期間を1年間として、2回を上限として通算3年まで再任できる制度としており、年休・産休も設けられており、職務の遂行に影響がない等の確認が必要であるが、兼業も可能になっている。 熊本では、大地震や豪雨の被害による児童生徒への心のケアも重視していて、いじめや不登校の問題の他に、スクールカウンセラーの職務としてより重要としている点に注目した。また、県立高校・県立中学校合わせて50校には全て派遣されており、また15校の特別支援学校には必要に応じて派遣を行っているということである。 一方、スクールソーシャルワーカーについても、いじめや不登校等の問題を抱える児童生徒に関する状況把握等、8つほどの職務があることが揚げられている。 いずれも職務の中で、児童生徒に対応したケースについて、結果や経過などを共有する場はあるのか?という質問に対して、県教委としては、年に3回連絡会を開催し、福祉等他の分野の職員も交えて行っている、ということだった。また、各教育事務所においても、各単位ごとにスーパーアドバイザ―を交えて事例研究会を年に9回程開催し、課題解決や共有に向けては、年に3回を目処に開催しているということであった。 採用についての課題は、スクールカウンセラーもスクールソーシャルワーカーいずれも、高齢化が進んでいることとやはり予算が不足がちである、ということと理解した。 所感としては、やはり、どちらの職務も年々必要であり重要であることは、どの町も同じであること、また、配置予算の増額を工夫する必要がある、と改めて認識した次第である。
引き続き、『熊本県の公立学校における働き方改革推進プラン』の策定プロセスについて、教育政策課教育DX・働き方改革推進室より説明を受けた。 まず、確認したかったことは、この働き方改革のスタンスについてであった。 というのも、教員の働き方改革を行うにあたっては、「教員が多くの雑務から解放されて、児童生徒達にしっかり向き合いたい」とこの教員の働き方改革の大きな目的を認識していたので、実際にその通りであって欲しい、という強い気持ちからである。 このことについては、少子化・人口減少、急速な技術革新、グローバル化等の地球規模の課題など将来の予測が困難な社会の中で、子どもたちが抱える課題も複雑化・困難カしているとともに、グローバル人材の育成やGIGAスクール構想の進展等、学校を取り巻く環境は大きく変化している。未来に向けて自らが社会の作り手となり、持続可能な社会を維持・発展させていく子ども達を育成するため(資料抜粋)という点を改めて説明された職員に口頭で確認した次第である。 プランは、すでに2期目に入っており、プランに従い、県・市・町・村における各学校での「取り組みの成果と課題」を抽出し、令和9年度に向けて次の段階にある。 プラン改訂にあたっては、令和5年に県立学校及び市町村立学校の教職員を対象(熊本市立の学校の教職員を除く)に、ワーク・ライフ・バランスの満足度、やりがい、負担感などについて意識調査を行っており、回答率は58.7%ということである。対象の教職員数は、想像しても膨大な数であり6,000人程。意識調査をする、という担当の意欲は素晴らしく、その熱意に強い敬意を持った。これに対し、教職員からの回答が100%に届かないことがとても残念である。 この意識調査の結果、今後必要な働き方改革の取組について、「人材確保(教職員)」及び「業務削減・廃止」が上位で、学校行事や会議・研修・出張等の削減や簡素化についての負担感が高かった「公務分掌の事務等」に関する見なおすことで、負担感軽減されることを見込んでいるということであり、これをもとに成果指標を作成し、その達成状況をさらに作成していく、という繰り返しが今後も続いていく。 所感としては、担当の努力と教職員の意識が一致して、児童生徒のためだけでなく、地域や家庭が理解できる「働き方改革」となっていくよう、他県のことで恐縮だが願い、また、それが模範となって他県や他市町村へと広がっていくことを強く望むものである、
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| 2 熊本城の復興について(熊本市)
熊本城の視察については、図らずも、今回で3回目になる。一回目は、市議に なってすぐの全国市議会議長会熊本に出席し、フオーラムの一貫として訪ね た。 熊本城は、慶長12年(1607)に加藤清正公により築城された。明治には 入り、西南戦争により焼失するなど建物等に大きな損傷を受け、昭和35年 (1960)以降の大小天守の再建以降、修復が行われ、その後の平成9年 (1997)に策定された「熊本城復元整備計画」に基づいて西出丸・飯田丸 一帯の整備、本丸御殿大広間や馬具櫓の復元整備が行われ、私が訪れた一回目の熊本城訪問は、まさにその本丸御殿大広間の復元が行われている状況の視察でした。そしてそれからその復元は完了したことを情報で得ていた。 そして、9年前の平成28年(2026)年に熊本地震が発生。甚大な被害を受けた様子を視察したのが2回目であり、今度は修復ではなく、復旧工事がおこなわれることになったのである。修復工事を視察していたこともあり、熊本地震による被害について知った際の衝撃は大きかったのを今でもはっきり覚えている。 今回は、教育福祉常任委員会の文化財所管の視察として、3回目として訪れた。完成は2052年としており、27年後を目途に進んでいる事業である。 当日は、前日の冷たい雨とは変わって、非常に良く晴れて青空を貫くように建つ熊本城は非常に美しく、時折、人工的に雲海が作られるという演出により、一層城の荘厳さ、美しさが際立った。そうした情景を見ながら、二人の学芸員による非常に丁寧な説明を聞きながら、入り口から城内の上階まで巡り、歴史や公開するにあたっての課題や苦労話などを充分に伺うことができた。 今回の視察にあたり、委員会から提出された事前の質疑は、1.熊本城のバリアフリー化の際に当事者の方々の声をどのように反映したか?2.熊本地震から復興までの対応の流れについて(市としての対応、国との調整など)3.震災前、震災後での災害対策の変化について4.熊本辞しの記録の継承についての4つでした。 この4つの質疑を含めつつの視察中の学芸員による多くの説明であったことがわかる。 所感としては、施設を公開する、ということについての注意点や課題については、城ではなくても共通することと感じた。さらに、これから27年間という長い時間を経る中で、時代や社会の変化に対応しながら復旧工事を推進していく、という壮大な計画に対して夢と熱意があることに、敬意を表するとともに、熊本市が中心になっていく推進するだけではなく、やはり国がもっと関り、速度を上げて進めることが重要であり、当然である、と考える。 |

